看護学生、宇宙を学ぶ

看護学生、宇宙を学ぶ

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看護と宇宙ってどうつながるの?                             一般教養科目の意味と面白さを真正面から伝えます。

看護学生、宇宙を学ぶ

小河一敏

  • 四六判 並製 214ページ
  • 定価:1,650円(本体 1,500円+税)
看護学生たちをたちまち一般教養科目の学びに引き込む授業で知られる著者(2019年看護ハナマル先生*)が、看護に夢を抱く高校生・大学生を想定して、ふだんの授業さながらに自然科学の3つのテーマの入り口まで読者と共にたどります。

「生命ってどういうもの?」
「生き物を真空パックにしたらどうなる?」
「動物はなぜ寝るの? 寝ないとどうなる?」
「太陽光は地球にどんな作用をしているの?」

著者の繰りだす素朴な問いを前にして、いつもの暗記モードを離れて自分の頭で答えを浮き彫りにしていく面白さを体感していくことになるでしょう。
本の後半では、難解とされる看護学の古典、ナイチンゲールの『看護覚え書』の「換気」の章に記された病人の部屋を断面図に再現して、ナイチンゲールの説く空気の流れを3色のペンで描いてみようと著者は言います。物理の基本を易しく説いて答え合わせをしたあと、エアコンや換気扇のある現代の「自分たちの部屋」に換気と保温のための理想的な空気の流れをつくる課題に挑戦します。新型コロナウイルスの感染対策や災害時の避難所の換気にも通じる学びがこんなところにもあったのだと気づいて驚くことでしょう。
著者は本書で、疾病や病態の知識や看護の技術のみを学び急ごうとしがちな看護学生と看護の道に夢を抱く若い読者に、「病人はまず人間であり、人間はまず生物であり、生物は宇宙のなかの地球上でその環境の影響を受けながら生きている」と、遡って広く学び進めておく意味を説いているのです。
読み終えたとき、「専門の学びにまるで関係がなく、退屈で、役に立たない」といった一般教養科目に対するネガティブな思い込みは見事に打ち破られ、これから始まる学びにワクワク感が高まります。
学びの意味を真正面から真剣に伝えようとする著者の言葉は読者へのあたたかなエールです。まさに、「すべての学生への愛あるメッセージが込められた一冊」(令和4年4月9日 宮崎日日新聞)、「深く広い教養を身につけたいとき、まず手にしたい一冊」(令和4年5月14日 西日本新聞)です。

*「看護ハナマル先生」は看護学生の推薦をもとに日本看護学教育学会が毎年1、2名を選出・表彰しています。

「宇宙や地球のことを学んで、いったい看護の役に立つの?」と思う人が大半だろうね。
でも、きっとこの本を読み終えたとき、君はなんとなくでもわかってくれると思うんだ。
というより、これからの学びに期待をふくらませてほしいな。
「宇宙を学ぶのよ、私たち。だって、私たちは看護を学ぶんだから、当然よね!」と。
さあ、新しい学びの扉を開けよう。
ようこそ、大学・専門学校の学びへ! ―本書「はじめに」より

目次

はじめに――大学・専門学校の学びへようこそ!
序章 学び方を学ぶ
新しい学びの体験/一般教養科目をなぜ学ぶのか/
世界のデッサン事始め……ほか
第1章 「宇宙地球科学」を学ぶ――宇宙、地球、生命のつながり
赤道付近はなぜ暑い? 北極や南極はなぜ寒い?/環境と生体の切っても切れない関係…ほか
第2章 「生命科学論」を学ぶ――生命ってどういうもの?
生命ってどういうもの?/生物が生きている姿を見てみよう/生きもの=息をするもの……ほか
第3章 「生体と環境」を学ぶ――自然の力を味方に
換気と保温が大切なのは/ウイルス対策と換気/『看護覚え書』は難しい?……ほか
終章 学ぶってすごい!
認識の段階性/具体から表象をたどって抽象へ/世界の全体像を自分の内に創るプロセス…ほか

 

著者紹介
小河 一敏(おごう・かずとし)                                       宮崎県立看護大学准教授  普遍分野「自然界と看護」担当。 大阪大学理学博士(物性物理学)。京都大学原子炉実験所COE研究員を経て宮崎県立看護大学開学の1997年から看護の基礎となる自然観を学生に伝えてきた。看護のための 教養教育に取り組み、『看護覚え書』を理解するための自然科学教育ならびに 『看護覚え書』を体得するための生活科学教育を構築・実践する。看護学生が推薦する2019年度の「看護ハナマル先生」(日本看護学教育学会)。
在庫状態 : 在庫有り
¥1,650(税込)
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